アニメーターを目指せるアニメ専門学校はたくさんありますが、それぞれのアニメ専門学校にはどのような特徴があり、どのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、後悔しないアニメ専門学校の選び方やおすすめの学校、メリットやデメリットの他に、各学校の学費やカリキュラムに至るまで詳しく解説しています。
アニメ業界へ就職するには?4つの方法を解説!
アニメ業界への就職といっても、アニメーターやCGデザイナー、撮影、アニメ監督など様々な分野のお仕事があります。
技術を身に付けてアニメ業界に就職するためには、どのような進路へ進むのがよいのでしょうか?
アニメ業界へ就職するためには、以下の4つの方法があります。
- 独学
- オンライン講座
- 大学
- 専門学校
どの進路を選択しても、アニメ業界へ就職するために必要な技術をある程度は身に付けることができるでしょう。
ただし、アニメ業界への就職に強いのは、やはりアニメ専門学校への進学です。
4つの方法を見比べながら、アニメ専門学校がおすすめな理由を確認していきましょう。
独学で学ぶ
独学は型にはまることなく独創性を大切にできる勉強法です。また、経済的な面で一番負担の少ない勉強方法でもあります。
一方で、独学は自分に足りない技術や改善点を見つけにくいという欠点があります。
経験者から指導を受けたり、自分の作品に対する指摘を受けることは、独学よりも早く確実なスキルアップに繋がります。
特にアニメーターは仕事の早さと正確さを求められる職業でもあるので、熟練者から現場で役立つテクニックを学んだ方が、アニメ制作会社に就職した後も即戦力になりやすいでしょう。
また、アニメ制作会社の特徴や会社情報などは、個人で調べるには限界があります。業界に関する情報量の少なさは独学で学ぶデメリットの一つです。
オンラインレッスンで学ぶ
オンラインレッスンは学校に通学するよりも学費が安く、時間や場所を選ばずに勉強できるのがメリットです。
一方、対面授業の方が細かなアドバイスを受けやすく、技術の向上が早いことは言うまでもありません。
また、オンラインレッスンでは技術の習得はできても、本格的な就職サポートまで行ってくれるところはほとんどありません。
独学同様に、アニメ制作会社に関する企業情報を入手しづらい点もデメリットです。
美大に進学する
アニメーターになるためには、美大とアニメ専門学校で迷う人も多いのではないでしょうか?
美大とアニメ専門学校の大きな違いの一つは、入学時に技術審査があるかどうかです。
美大に入るためには厳しい技術審査があるため、美大予備校などである程度技術を身に付けてから受験する人が多いです。
アニメーターになるためには、場合によっては遠回りになるかもしれません。
また、アニメ制作だけを専門的に学べる美大は少ないです。この点も大学とアニメ専門学校の大きな違いと言えるでしょう。
最近ではアニメについて学べる大学も増えていますが、大学は一般科目を学ぶ時間も多いです。
美大や大学は、アニメに限らず幅広い知識を身に付けたい人におすすめの進路です。
アニメ専門学校に進学する
アニメ専門学校は、4つの方法の中でも最も職業訓練的な要素が強いです。
アニメ専門学校の授業は、アニメ制作の現場で役に立つノウハウを中心にカリキュラムが組まれており、即戦力となるための教育が行われます。
アニメ制作会社によっては、新人を教育する環境が整っていないため、即戦力として訓練されたアニメ専門学校の卒業生を欲しがる会社もあります。
専門学校と大学では、大学の方が教育レベルが高い印象を持っている方も少なくないようですが、アニメーションに関しては専門学校で教わることの方がより実践的です。
また、大学は4年制であるのに対して、専門学校は2年制の学校が多いので、早くアニメ制作の現場に出ることができます。
アニメ業界への就職を希望しているのであれば、アニメ専門学校が一番の近道といえるでしょう。
実際に、人気アニメの監督や演出家の中にも、専門学校卒の方がたくさんいます。
アニメ専門学校のメリットとデメリット
アニメ制作会社への就職に強いアニメ専門学校ですが、メリットだけではなくデメリットも存在します。
ここからは、アニメ専門学校のメリット・デメリットについて解説していきます。
アニメ専門学校に行くメリット
- アニメ業界への就職に強い
- 業界情報を知ることができる
- 現場で役立つ知識や技術を学べる
- 初心者でも基礎から学べる
- アニメ業界の人脈ができる
アニメ専門学校の大きなメリットは、やはりアニメ業界への就職に強い点です。
アニメ専門学校では、アニメ業界で即戦力となるようなカリキュラムが組まれています。
アニメ制作会社が即戦力となる人材を求めて、アニメ専門学校に求人をかけることも少なくありません。
アニメ専門学校の講師には、アニメ業界のことをよく知る現役のプロが採用されることが多いです。
そのため、リアルな業界情報を得ることや、現場で役立つスキルを学ぶことができます。
また、企業案件やインターンシップなどがある学校では、実践的に学ぶことができるのもアニメ専門学校のメリットです。
その他にも、入学の際に実技試験がないので初心者でも基礎から学べる点や、アニメ業界への人脈作りができる点もアニメ専門学校のメリットと言えるでしょう。
アニメ専門学校に行くデメリット
- 遊んで終わる可能性がある
- 学生のモチベーションにばらつきがある
- アニメーターになれるとは限らない
アニメ専門学校は誰にでも入学できるので、アニメ業界への就職に強い関心を持っていない生徒でも入学が可能です。
アニメ業界への就職に対するモチベーションが低い学生が多いと、他の学生にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
環境に左右されない強い志があれば問題ありませんが、意欲的な学生が少ない専門学校ではモチベーションを保ちづらいことは否定できません。
遊んで終わるだけの学生生活となってしまっては、アニメ専門学校に来る必要がなかったと後悔する可能性もあるでしょう。
本気でアニメーターを目指している人は、アニメ業界への就職を多く勝ち取っている専門学校や、アニメ業界からの評判が良い専門学校を選ぶのがおすすめです。
中にはアニメ業界への就職よりも一般就職に力を入れている専門学校もあるので、本気でアニメ業界への就職を考えている人は専門学校の見極めが大切です。
また、アニメ専門学校に入学したからといって必ずアニメーターになれるわけではありません。
アニメ業界への就職に強いとは言え、一般就職に関しては、大卒よりも学歴という武器が少ない点で不利な面も出てきます。
進路に迷いがある人は、一般就職に関しても就職サポートが手厚い専門学校がおすすめです。
おすすめのアニメ専門学校はココ!
おすすめのアニメ専門学校は選ぶポイントによって変わりますが、ここではアニメーターの輩出実績が多く、評判の良いアニメ専門学校を紹介します。
各学校の特徴などを比較しながら、後悔のない専門学校選びをしましょう。
また、気になるアニメ専門学校は資料を取り寄せたり、体験入学に参加してみることもおすすめします。
代々木アニメーション学院
アニメの専門学校といえば、代々木アニメーション学院を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
代々木アニメーション学院は、長年にわたりアニメに関わる人材を育成してきた歴史があります。
アニメ業界への就職実績が高く、現在日本で作られているほとんどのアニメ作品に代々木アニメーション学院の卒業生が関わっているとも言われており、アニメの学校として評判のよい学校です。
また、代々木アニメーション学院の卒業生には、アニメ業界の著名人もたくさんいます。
そのため、代々木アニメーション学院はアニメ業界に太いパイプがあるとも言われています。
代々木アニメーション学院の一番の特徴は、卒業生実績もさることながら、アニメに特化した学校だからこそできる「学科の細分化」です。
アニメ制作の現場では、動画マンや原画マン、背景、CG、音響など作業が細かく分担されており、一人がすべての作業を行うことはほとんどありません。
各セクションで求められる能力は全く違うので、何でもできる人よりも、一つの分野を専門的に学んだ人の方が重宝される傾向があります。
こうした背景を受けて、代々木アニメーション学院は専門性の異なる7つの分野に分けて、それぞれでプロフェッショナルを育成する教育を目指しています。
一つの学校でこれだけ専攻が分かれているのは珍しく、アニメについて専門的に教育できる環境が整っていると言えるでしょう。
また、代々木アニメーション学院では、地方校でも東京校と同様のカリキュラムで学ぶことができるのも評判のポイントです。
アニメ専門学校への進学を考えている人は、代々木アニメーション学院も検討してみることをおすすめします。
学校名 | 代々木アニメーション学院 |
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学科 | 【アニメーション学部】 アニメーター科 アニメ背景美術科 アニメ監督・演出科 アニメ音響科 アニメ3DCG科 |
2年間の学費 | 2,983,000円 |
校舎 | 東京/池袋/大阪/なんば/名古屋/福岡/札幌/仙台/広島/金沢/フルリモート |
※2024年3月26日時点の情報です。
アミューズメントメディア総合学院
実践的なアニメーションの学習で評判が良いのは、アミューズメントメディア総合学院です。
アミューズメントメディア総合学院は、アニメ専門学校の中ではそれほど歴史が長い学校ではありませんが、多くの卒業生を輩出している学校の一つです。
入学後すぐに実際の現場と同じアニメの制作工程に沿って授業が進められます。プロのアニメ制作と同じ行程を踏むことで、実践的な技術を身に付けることができます。
アミューズメントメディア総合学院ではアニメを作る全工程を学んでから、「作画中心」と「演出中心」のコースに分かれ、それぞれの分野をより深く学びます。
代々木アニメーション学院ほど専攻が細かく分かれていませんが、どの職種を目指したらいいのか分からないという方にはおすすめです。
また、アミューズメントメディア総合学院は企業のインターンシップにもかなり積極的な学校なので、実践教育に興味がある人にはおすすめの学校です。
ちなみに、アミューズメントメディア総合学院と代々木アニメーション学院は、どちらも一般企業が運営している学校です。
無認可校と聞くと認可校より劣るイメージがあるかもしれませんが、エンタメ業界では無認可校の評判が良い傾向にあります。
例えば、認可校はカリキュラムや講師の採用などに制限がありますが、無認可校はカリキュラムや講師の変更に制限が無く、トレンドや現場の声を授業に反映しやすいという違いがあります。
アミューズメントメディア総合学院も自由度の高い企業校で、アニメ業界への就職実績も多いので、学校の評判が良いと考えられます。
初心者からプロのアニメーターを目指すのであれば、アミューズメントメディア学院や代々木アニメーション学院のような実績の多い企業校がおすすめです。
学校名 | アミューズメントメディア総合学院 |
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学科 | 【アニメーション学科】 アニメーター・監督専攻 制作・プロデューサー専攻 【ゲーム・アニメ3DCG学科】 |
2年間の学費 | 2,460,000円 |
校舎 | 東京/大阪 |
※2024年3月26日時点の情報です。
日本電子専門学校
日本電子専門学校は、長年アニメーションの教育を行っている専門学校です。新宿に校舎があり、交通の便が良いのも特徴の一つです。
学費はアニメ専門学校の中では平均的な金額のため、通いやすい専門学校といえるでしょう。
日本電子専門学校では、主に手書きのアニメーションについて学ぶ「アニメーション科(2年制)」と、CGを中心に学ぶ「アニメーション研究科(3年制)」を選択することができます。
アニメーション科では手書きアニメーションに重きをおいており、デッサン力や動的表現を幅広く身につけることができます。
最近のアニメ専門学校のカリキュラムでは、CGやデジタルの授業が目立ちますが、実際の現場ではまだまだ手書きデッサンの技量も求められています。
日本電子専門学校は、デッサンを丁寧に学んでいくことで基礎力が身につくという点で、評判の良いアニメ専門学校の一つです。
常任講師に有名アニメーターがいるわけではなさそうですが、特別講演の際には映画監督の講義を聞けることもあります。
過去には、映画やゲームの制作に参加する機会もあり、エンタメ業界とのつながりもある専門学校です。
卒業生実績も豊富で、有名アニメ作品にも多数参加しています。
生徒数が多いわけではありませんが、アニメ制作会社にコンスタントに内定を決めるなど評判の良い専門学校の一つです。
学校名 | 日本電子専門学校 |
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学科 | アニメーション科(2年制) アニメーション研究科(3年制) |
2年間の学費 | 2,642,800円 |
3年間の学費 | 3,883,200円 |
校舎 | 東京(大久保) |
※2024年3月26日時点の情報です。
東京アニメーションカレッジ専門学校
東京アニメーションカレッジ専門学校もまた歴史のあるアニメ専門学校です。
東京アニメーションカレッジ専門学校では、2年制と3年制のクラスから選択することができます。
2年制ではアニメーションまたはCGについて学ぶことができます。
アニメーションとCGのどちらか一方を選ばなくてはいけませんが、一つの分野を専門的に学べる点がメリットです。
3年制はアニメ監督や演出家など、プロデュース業をメインに学ぶ学科です。
3年制のコースでは、アニメーションやCGも一通り学んだ上で、プロデュース業についても学んでいきます。
東京アニメーションカレッジ専門学校は歴史の長い学校だけあって、アニメ業界で活躍する卒業生も見受けられます。
アニメ監督や美術監督がゲスト講師として登壇する機会もあり、アニメーターを目指す上でモチベーションを保ちやすい環境でもあります。
ただし、専門学校が公開している情報によると就職率が70%台の年度もあり、就職率だけを見ればそれほど高い印象ではありません。
アニメ制作を基礎から学べる環境は整っているので、就職に関しては個人の積極性が必要になる学校といえるかもしれません。
学校名 | 東京アニメーションカレッジ専門学校 |
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学科 | 【総合学科/3年制】 総合アニメーションコース 【アニメーション学科/2年制】 アニメーターコース CGアニメーションコース |
2年間の学費 | 2,632,000円 |
3年間の学費 | 3,882,000円 |
校舎 | 東京(高田馬場) |
※2024年3月26日時点の情報です。
東放学園映画専門学校
東放学園映画専門学校は、TBSの教育事業本部が前身となる東放学園系列の学校です。有名な卒業生では、映画監督の堤幸彦氏や行定勲氏を輩出しています。
学校名に映画とつくだけあって、映像制作に力を入れている専門学校です。
東放学園映画専門学校の一番の特徴は、「アニメーション作画」と「CG」が一つの学科に集約されていることです。
アニメーション作画もCGも専門的な分野なので、他のアニメ専門学校では専攻が分かれることが多いです。
様々な分野を総合的に学べるというメリットがある一方で、一つの分野を専門的に学びたい学生には物足りない可能性もあります。
そのため、東放学園映画専門学校はアニメーションの作画やCG技術を専門的に学びたい人よりも、全体を把握して制作の進行をおこなうプロデューサーや脚本、演出、監督などに興味がある人におすすめの学校です。
卒業生実績では有名企業への採用も勝ち取っていますが、就職率だけを見るとそれほど高い実績ではありません。
留学生が約4割ほど在籍している年度があったり、アニメーターの雇用形態が業務委託(フリーランス)が多いことが、就職率に反映しない理由としても考えられます。
とはいえ、就職実績は将来を考える上では無視できないポイントです。
東放学園映画専門学校が気になる人は、卒業生がどんな進路をたどっているのか、オープンキャンパス等で詳細を確認するとよいでしょう。
学校名 | 東放学園映画専門学校 |
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学科 | アニメーション・CG科 |
2年間の学費 | 2,673,610円 |
校舎 | 東京(西新宿) |
※2024年3月26日時点の情報です。
HAL東京
HAL東京は、新宿駅から徒歩3分の距離にある校舎建物が印象的な専門学校です。年度によっては4割ほどが留学生ということもあり、グローバルなアニメ専門学校です。
HAL東京では2年制と4年制から選択する方式を取っており、2年制はCG、4年制はデジタル作画やアニメーションを学ぶカリキュラムです。
2年でデジタル作画やアニメーションを中心に学べる学科がないので、専門学校選びの際には注意が必要です。
HAL東京の特徴はCG技術に強いことです。常任講師にもCG技術に優れた講師が採用されている印象です。
CGよりも手書きアニメーションを学びたい人は、「デッサンの授業はあるのか?」「講師にはどんなアニメーターがいるのか?」の2点は入学前に確認しておきたいポイントです。
また、HAL東京では「完全就職保証制度」と「国家資格 合格保証制度」という独自のバックアップ体制をとっています。
「完全就職保証制度」により、4年制では卒業者全員が就職するという高い就職率(参照:令和3年11月1日職業実践専門課程の基本情報)を残していますが、就職先はアニメ制作会社よりもゲームやCG関係の企業が多い傾向があります。
また、HAL東京のデメリットとしては、学費がかなり高額なことです。
例えば、入学金は30万円と他のアニメ専門学校の平均よりも10万円以上高くなります。年間の学費も東京にあるアニメ専門学校の中でも最上位ともいえる高さです。
デジタル作画やアニメーター専攻を選択した場合は4年制になるので、なおさら高額な学費になります。
学費が高い代わりにどのようなメリットがあるのか、入学前に他のアニメ専門学校ともよく比較検討してみることをおすすめします。
学校名 | HAL東京 |
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学科 | 【CG・デザイン・アニメ4年制学科 アニメーションコース】 アニメーター専攻 デジタル作画専攻 【CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース】 3DCGクリエイター専攻 VFXアーティスト専攻 【CG学科/2年制】 CGアニメーション専攻 |
2年間の学費 | 約290万円 |
4年間の学費 | 約580万円 |
校舎 | 東京(新宿) |
※2024年3月26日時点の情報です。
日本工学院専門学校
日本工学院専門学校は、34学科99コースを持つ大型の専門学校です。こちらのページでご紹介している専門学校の中で唯一、エンタメ以外にも多方面の分野の学科がある専門学校です。
校舎は蒲田と八王子のいずれかになります。どちらの校舎も都心から離れた地域のため不便さがある一方で、敷地面積が広いのは魅力です。
特に八王子校は大学キャンパスのような雰囲気を持っています。多方面の分野の学生が集まるので、他のアニメ専門学校とはまた違った校風になるでしょう。
日本工学院専門学校のアニメーションコースは、2年制と4年制から選択することができます。
4年制では画力の基礎をしっかりと身につけて、3DCGを取り入れた技術まで深く学ぶことができます。
ただし、アニメーターはできるだけ早くプロの現場に入る方が良いという意見もあります。
2年でCG技術も学べる代々木アニメーション学院やアミューズメントメディア総合学院に比べて、4年で学ぶことにはどんなメリットがあるのか、しっかりと検討しましょう。
また、日本工学院専門学校では多くの学生が「ビジネス著作権検定 BASIC」を受験するなど、資格取得に積極的なのも特徴の一つです。
ただし、就職率が特段に高いというわけではなく、年度によっては卒業生の半数程度しか就職が決まっていないということもあるようです。
また、他のアニメ専門学校と比べて、アニメ業界の第一線で活躍している卒業生は多くはないイメージです。
カリキュラムとしてはインターンシップ制度も導入していますが、実施例が多くはないのが現状のようです。
日本工学院専門学校の学費はアニメ専門学校の中でも高い方なので、就職率や就学期間、インターンシップの実施例などを元に、他校と比較検討してみると良いでしょう。
学校名 | 日本工学院専門学校 |
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学科 | 【マンガ・アニメーション科】 アニメーションコース(2年制) アニメーションコース(4年制) |
2年間の学費 | 2,645,690円 |
4年間の学費 | 5,089,200円 |
校舎 | 東京(蒲田・八王子) |
※2024年3月26日時点の情報です。
失敗しないアニメ専門学校の選び方
アニメ業界に就職したいのであればアニメ専門学校がおすすめです。とはいえ、アニメ専門学校であればどこでもいいわけではありません。
失敗しない学校選びをするために、チェックしておきたいポイントは以下の通りです。
- 卒業生実績
- アニメーション作画かCG作画か
- 講師
- カリキュラム
- 校風
- 学費
- 認可校と無認可校
- 学校の公開情報
- 就職率
①卒業生実績
アニメ専門学校にとって、卒業生実績はその学校の成績表といっても過言ではありません。
その学校からどれだけの卒業生がアニメ業界に進み、どんな卒業生が活躍しているのかを調べておくと良いでしょう。
卒業生の活躍は、専門学校にとっても高い宣伝効果があります。そのため、卒業生実績が良いアニメ専門学校は、学校公式サイトなどで実績を公表している場合が多いです。
一方で、公式サイトやパンフレットで卒業生実績を公表していない専門学校や、大まかな就職率だけを掲載している学校は、実績がそれほど良くない可能性があるので注意しましょう。
活躍する卒業生の名前が掲載されている専門学校は、最も信憑性が高いです。
卒業生実績を就職率〇〇%や、採用企業の掲載のみで紹介している専門学校は、具体的にどんな作品に関わった卒業生がいるのか、どの企業への就職が多いのか、詳しく確認しておくと良いかもしれません。
卒業生実績は、その学校の教育力を測る手段でもあります。学校選びで後悔しないためにもしっかりとチェックしておきましょう。
②アニメーション作画かCG作画か
アニメ制作と一言で言っても、手書きで描いていく手法と、CGで描いていく手法とがあります。どちらもアニメ制作の現場で使われている手法ですが、それぞれ必要な知識も技術も異なります。
そのため、アニメーション作画とCG作画のどちらを主に学びたいのかによって、選択するべきアニメ専門学校や専攻は変わります。
アニメ制作の現場は基本的に分業制になっています。手書きかCGかに限らず、自分が一番やりたい仕事について学べる専攻を選ぶのが望ましいです。
例えば、代々木アニメーション学院はアニメ専門学校の中でも細かく専攻が分かれている学校で、アニメに関する様々な分野について専門的に学べると評判です。
学びたい分野が決まっている人は、コースが細かく分かれている専門学校の方が、効率よく専門性の高い技術を身に付けることができます。
反対に、どんな仕事をやりたいのかまだ具体的には分からないという人は、手書きに興味があるのかCGに興味があるのかだけでも考えてみると良いでしょう。
③講師
講師は専門学校を選ぶ上でとても大切なポイントになります。以下のポイントに注意して、アニメ専門学校の講師を比較するとよいでしょう。
- アニメーターの経験はあるか?
- どんな作品を手がけた講師か?
- 専任講師は何人いるのか?
- 現役引退している講師ばかりではないか?
アニメーターとして基礎を身に付ける段階で、どんな講師からどんなことを学ぶのかで将来が大きく変わる可能性もあります。
アニメ専門学校として実績がある学校には、良い講師が必ずいます。
現役アニメーターの講師や、アニメーターとしての活動実績が豊富な講師は、現場で役立つ技術や考え方を教えることができます。
講師を比較する際は、アニメーターとしてどんな作品に携わってきた人物なのかを比較するとよいでしょう。
また、有名アニメーターを講師として紹介している場合でも、常に教壇に立つ常勤講師ではなく、ゲスト講師の可能性もあります。
ゲスト講師は、年に数回あるような特別授業のみでの講義になります。
毎日の授業を担当するのは常勤講師なので、アニメ専門学校の講師を比較をする際は常勤講師について調べてみるのが良いでしょう。
④カリキュラム
次に確認しておきたいポイントは、「何を教わることができるのか?」ということです。
例えば、アニメーターに必要な能力には以下の5つがあります。
- 正確に模写するデッサン力
- 物や人物をさまざまな角度から描く技術
- 動作を的確に表現するための観察力
- 作業スピード
上記の能力を身に付けられるカリキュラムが整っているかを確認しましょう。
特に模写と作業スピードは、アニメ制作の現場で最初に求められるスキルです。
また、アニメーターの採用試験では、ポートフォリオ(作品集)の提出を求められることが多いです。
企業によって高く評価されるポートフォリオは異なるので、企業に合わせたポートフォリオ対策を指導してもらえる専門学校を選ぶのも良いでしょう。
アニメ業界への就職に強い専門学校であれば、ポートフォリオ対策にも期待できます。
また、職種によって身に付けるべき技術や知識は異なります。希望の職種が決まっている人は、専門学校のカリキュラムで必要なスキルを学べるかどうかも確認しておきましょう。
⑤校風
校風は学校ホームページやパンフレットを見ているだけでは、なかなか掴めません。
説明会やオープンキャンパスに参加し、教員や在校生の話を聞くことで体感できる部分が大きいでしょう。
「真面目そう」「厳しそう」「楽しそう」「活発そう」など、何となく感じた感想も専門学校を選択する際には大きな判断基準となります。
将来を決める大切な学校選択なので、少なくとも2校くらいはオープンキャンパスに参加し、学校の雰囲気を比較してみましょう。
⑥学費
学費は安ければ安い方が経済的な面で助かります。
とはいえ、学費だけで学校を選択することはあまりおすすめできません。
学費が安いアニメ専門学校は、設備投資や講師の質、就職サポートの面で不十分な可能性も考えられます。
数万円の差で、アニメ業界への就職の可能性が変わることも考えられます。一方で、学費が高いだけで卒業生実績が十分ではない専門学校にも要注意です。
狭き門であるアニメ業界を目指すのであれば、学費ではなく実績やカリキュラムで学校を比較するのが望ましいです。
近年はアニメ専門学校の学費サポートも充実しているため、学費が心配な方は学費サポートも活用しながら後悔のない学校選択を行いましょう。
⑦認可校と無認可校
アニメーターを目指せる学校の中には、認可校と無認可校があります。
認可校とは、都道府県から認可された学校で、校名に専門学校と付けることができます。
一方、無認可校は都道府県からの認可を受けていない学校で、正式には専門学校と名乗ることはできません。教育施設やスクールのような扱いになります。
アニメ専門学校といわれる有名校の中にも、無認可の学校があります。代表的なのは代々木アニメーション学院やバンタンゲームアカデミーでしょう。
無認可校というと認可校よりも劣っているようにも聞こえますが、アニメやエンタメなどの業界では、無認可校の方が評判が良い傾向にあります。
その理由は、国の細かな基準に縛られることなく、柔軟なカリキュラムを組めるためです。
認可校ではカリキュラムや講師の変更などに申請や許可が必要になり、時間がかかる傾向にあります。
一方、無認可校では国の許可を必要としないため、業界のトレンドをいち早く授業に取り入れることができます。
実際に、無認可校である代々木アニメーション学院は、アニメや声優の分野で多くの卒業生を輩出しており、各業界で教育力を高く評価されています。
⑧学校の公開情報
専門学校の名前がついている認可校は、学校の情報を公開する義務があります。
生徒数、常任講師の人数、卒業生の人数、就職者数や就職率、さらには中退者数に至るまで、明確な情報を公開する必要があります。
各校のホームページで公開されている「職業実践専門課程の基本情報」で確認できるので、アニメ専門学校の比較材料とすると良いでしょう。
⑨就職率
学校ホームページで大々的に書かれている就職率は、就職を希望した人に対する就職者の割合を打ち出している場合が多いです。
例えば、就職率100%をうたっていても就職希望者が少ないだけで、卒業生全員に対しての就職率は半数以下というケースも少なくありません。
正確な就職率は、各校のホームページで公開されている「職業実践専門課程の基本情報」を参考にするとよいでしょう。
「職業実践専門課程の基本情報」には卒業生全員に対する就職率が掲載されているので、専門学校のリアルな就職率を確認することができます。
実際に、就職率100%と紹介している学校の「職業実践専門課程の基本情報」を見てみると、就職希望者がたった1名だったということもあります。
就職率はわかりやすい指標でもありますが、学校資料やオープンキャンパスで詳細を確認してみることをおすすめします。
アニメ専門学校の学費の相場はどのくらい?
東京のアニメ専門学校の2024年度生の学費を参考に、学費の相場を見ていきましょう。
アニメ専門学校の2年間の学費総額は、おおよそ250万円〜300万円となっています。
学費の内訳は、初年度の学費が入学金込みで130万円〜160万円。2年次の学費がおおよそ120万〜140万円といったところです。
アニメ専門学校では上記の学費以外にも、教材費や合宿代、校友会費、卒業準備金などが別途かかる場合があります。
授業料が安い専門学校でも、諸費用を足していくとそれほど安くはなかったというパターンもあります。
アニメ専門学校の学費を比較する際は、別途必要な諸費用までしっかりと確認しておくことをおすすめします。
また、アニメ専門学校ではパソコンや周辺機器、有料ソフトなどが必要になります。
これらはアニメーションについて学ぶ上で必需品となるので、初期費用がかかるということも理解しておきましょう。
このように、アニメ専門学校ではある程度のお金がかかりますが、各専門学校では奨学金や教育ローンなど、学費サポートを充実させています。
学費が心配な方は、進学を考えている学校にどのような学費サポートがあるのか、早めに確認しておきましょう。
代々木アニメーション学院 | 2,983,000円 / 2年間 |
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アミューズメントメディア総合学院 | 2,460,000円 / 2年間 |
日本電子専門学校 | 2,642,800円 / 2年間 3,883,200円 / 3年間 |
東京アニメーションカレッジ | 2,632,000円 / 2年間 3,882,000円 / 3年間 |
東放学園映画専門学校 | 2,673,610円 / 2年間 |
HAL東京 | 約2,900,000円 / 2年間 約5,800,000円 / 4年間 |
日本工学院専門学校 | 2,645,690円 / 2年間 5,089,200円 / 4年間 |
アニメ専門学校に入学するのは難しい?入試の難易度を解説!
アニメ専門学校の入試では、筆記試験や実技試験を行わない学校がほとんどです。
アニメ専門学校の審査方法は書類や面接が一般的で、実力よりも学習意欲が求められています。
そのため、アニメについて学びたいという意欲さえあれば、誰にでも入学できるといっても良いでしょう。この点は、入試で実技審査が行われる美術大学との大きな違いと言えます。
ただし、アニメ専門学校でも特待生制度を利用する場合は、作品提出などの実技審査が行われることがあります。
また、アニメ専門学校の倍率に関しては、公開されているデータはほとんどありませんが、それほど高くはないでしょう。
アニメ専門学校ではAO入学を利用する人がほとんどなので、行きたい専門学校が決まっている人は早めにエントリーすることをおすすめします。
アニメ専門学校の就職先と仕事内容
アニメ専門学校の就職先として多いのは、アニメプロダクションやアニメ制作会社です。
また最近では、ゲームソフトやネットコンテンツの制作会社などでも求人があり、アニメ専門学校の卒業生の活躍の場が広がっています。
アニメ業界といっても職種は様々です。代表的なのはアニメーターですが、その一つをとってもベースとなる絵を描く「原画マン」と、原画をもとに少しずつポーズや構図の違う絵を描き、動きを足していく「動画マン」と呼ばれる職種に分かれます。
アニメーターとして採用されると、最初は動画マンとして実績をつんでいき、実力が認められると原画を任されるようになります。
その後は重要なシーンの作画や、キャラクターデザインなどにステップアップしていくことになるでしょう。
アニメーターから監督になった人もいて、経験を積むことで仕事の幅は広がっていきます。
CGや背景デザイン、撮影や音響など他にも様々な職種があるので、どんな職種でアニメ業界に就職したいのかを考えておくと良いでしょう。